2013年5月2日木曜日

              

関東ふれあいの道(千葉)『No.24ニホンザルと出会うみち』

2013/05/02(木)

5月になった。
今回はニホンザルの生息地としてされている高宕山を歩くNo.24コースである。
千葉県にニホンザルがいるとは関東ふれあいの道のパンフレットを読むまで恥ずかしながら知らなかった。
さて、猿となれば熊のように身の危険はとりあえず伴わないと思われるので、できれば是非見ておきたいのだが。
果たして……








5月2日木曜日。ゴールデンウィーク後半前日に有給休暇を取得してNo.25コースのゴールとした植畑上郷バス停に来た。
わざわざ平日に来たのは平日でなければ午前中のバスがないからである……
天気予報では午前中は曇りで昼頃から晴れる予報だが、8時過ぎの現在雲は厚い。










前回も通った高宕林道を再び歩く。
前日夜からの雨で路面は濡れている。
悪いことに雨がパラつきはじめた。













二度目かつ歩き始めということもあり足早に石射太郎山山道入口に到着。
さて登ろう。

山道入口には車が一台停められていて、これから山を登ろうと準備している男性を目にした。










急な階段を登って行く。
徐々に厚い雲の切れ目から青空が見え始めた。
山の風景をカメラに収めにきた男性とすれ違った。平日だというのに結構人がいるものだ。
どうやって来たのだろうか。










さてコース分岐点まで来た。
ここから更に登って高宕山を目指す。

……と、うわっ!
雨でぬかるんだ土の急斜面に足をとられてバランスを崩しかけた。
なんとか細い木の根を手掛かりに体制を持ち直した。
この先の山道では両手を使ったムーブが多くなってくるかもしれない。すでに土だらけになってしまった手を水で軽く洗い、現場作業の友、軍手を装着した。




覚悟とは裏腹にフラットで気持ちのいい山道がはじまった。つい気分が高揚し足も早まる。














岩を穿った切通しが幾度となく現れる。
いいよー、こういうの。
最近は山中の小さな切通しに”萌える”ようになってきた。こちらの景色とあちらの景色を繋ぐ”門”のような、何か神秘的な気分にさせてくれる。











少し歩くと森が開け、日のあたる山中のバルコニーのような場所に出た。ちょうど休憩用のベンチがあったので、持ってきたサンドイッチを頬張った。
少しずつ天気も回復してきた。良い気持ちだ。











山道を登りながら切通しと木々のトンネルを潜る。
逆周りコースを歩いていると、たまにこちらから来た方が美しいと思えるような景色に出会うことがある。











そんな風に思えた景色がこれである。
息をのんだ。高宕山への山道を登って行くとふいに目の前に現れた狛犬と仁王の石造。そして真っ直ぐに視界の先まで続く石段。
異世界に迷い込んでしまったように錯覚させる、まさに非日常の景色がそこにあった。

言うまでもなく、これは高宕観音への参道だ。








上へ上へ続いていく参道。
普段ならば辛い階段もこんな雰囲気のある階段なら上機嫌で登れる。



















参道の階段を登り切ると高宕観音がお目見えした。
朱色の屋根が岩の中から大きく張り出した、山の中にありながら威風堂々とした佇まいだ。
参道脇に立つ案内板によれば、高宕観音とは行基菩薩が彫刻したものらしい。

ここがチェックポイントなので、お堂を背景に写真を撮っていると、山道入口ですれ違ったと思しき男性がいつの間にかやってきて、無言で通り過ぎていった。





高宕観音のお堂でしばし休憩した。
静かだ……。
心を穏やかにして埃っぽくも澄んだお堂の空気を吸い込むと、房総の山を旅した古人の気持ちとシンクロした気がした。

入口に切り取られた房総の山々。
まるで趣のある日本画を一人鑑賞しているようである。

お堂の古びたノートに、訪れた旅人が記念の文句を書き連ねていた。





穏やかな気持ちになり、高宕観音を後にする。




















こちらは小さな隧道が山の景色を丸く切り取っていた。
この穴をが鳥居代わりだろうか。
潜って先の道を行く。


















振り返り撮影。
手を合わせ、別れを告げた。














途中で高宕山山頂へと続く道が分岐する。
山頂より見る景色を拝みたい。
山頂へ向かうことにした。













鎖のついた梯子が現れた。
鎖は特に必要ないと思う。
梯子は急がず一段一段登り降りが基本。
慎重に登る。












梯子の次は岩場に直にロープが垂れ下がっていた。
ここではロープは役立った。
しっかり体重を預けて登る。


















もう一つ梯子を登り、高宕山山頂に到着。
330m。低いようだが、房総の山の標高は総じてそんなものであるらしい。













山頂からの眺め。
空模様はいまいちだが風が吹き抜けて爽快な気分だ。
あれは、浦賀水道だろうか……。
コンパスで確かめれば良かったが、海岸の地形を見るに恐らくそうだろう。










眼下の谷筋を覗く。
彩り豊かな木々の葉が山を覆っていて、山鳥の囀りが聞こえている。
僕が来た道すらも葉陰に隠されている。












さて分岐箇所まで降りてきた。(急な場所の降りは少し怖かった)
雨のせいかややマッディな道を往く。













オ、ナイスデザイン。
片洞門だ。にしても歩道が狭い!



















やがて八良塚への分岐点に到着。
八良塚は342m。高宕山よりやや高い。
コースは分岐点をそのまま降っていく。













道を小川が流れていた。
小さな水たまりを静かに水が流れている。
なんとなく山に住む生命の息吹を感じた。













最後に階段を下りていくと、ついに山の麓に着いたようだ。
コンクリート舗装が見えた。














国道410号に出た。
振り返りいま来た道を望む。
こんもりと丸い姿をしたのが八良塚で、奥に見えるのが高宕山だろうか。

ようやく青空が広がり始めたようだ。










国道に出たところで近くにある「ロマンの森共和国」というキャンプ場に昼食をとりに寄り道した。
「白壁の湯」という温泉もあったので汗も流してきた。












新豊英トンネルが貫く峠を越すと、間もなく下の台バス停に到着する。
コミュニティバスを遣って再び君津駅に向かってもいいが、本数が少なく乗り継ぎも面倒なので、鴨川日東バスの木更津鴨川線を使って木更津駅に向かうのが便利だろう。
僕はそうした。運賃は1000円。

歩いた距離は15.6km。約3時間半で踏破した。

天気がもう少し良ければ、とは思ったが、いい道だった。
高宕山……房総の秘められたパワースポットです。

そういえば……猿には出会わなかったな。
         

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