笹山堤の藪が酷い。
更にコースミスをして酷い目にあった……トラウマのコースである。
笹山堤から稜線に出てからは気持ちのいい道。
最後に下浜海水浴場で日本海が眼前に広がるのが爽快である。
雄物川が秋田の水運に貢献していた時代を偲ぶ。
ここからコースを歩く。
さて……
ここから見る分には平和そのものなのだが。
ここから地獄が始まる。
やはり刈払はあまりされていないようである……
憂鬱だ……
トゲのある植物が脚に絡まって痛いの何のって。
何故こんなことをしているのだろう……
倒れてはいるが、標識を発見し、ちゃんとコースなんだと確認しているにも関わらず、標識の腕の向きをよく見ずに逆方向へ行ってしまった。
何故かって、国土地理院の地図だと逆側に破線の道が描かれていて、標識の先には道が描いてないんだもの……
何故かどこかで尾根に登る道が現れるだろうとこの時は思っていた。
コースミスに早く気付いていれば……
本当に何をしているんだ……
しかしまあ、無理やりにでも登れる斜面で良かったというべきだろう。
尾根上に標識を見つけたときは変な笑いが出た。
一体、どこに道があったというんだとしばらく疑問だったのだが、家に帰ってからよくコースマップを見て、ようやく間違いに気付いたのだった。
なんだか不思議な体験だった。
歩き旅をしていると、たまにこういうことがある。
神の与えた試練だったのだろうか?
いやはや、くたびれた……
晴れ間も出てきたしな。
風車の並ぶ尾根上の道を行く。
太陽と青空ってのはありがたいものだなあ。
尾根から降りるようだ。
軽快に坂を下りていく。
久しぶりに人間を見たな……
日本海をこんなに美しいと思ったのは初めてかもしれない。
それは、疲れ果てた心身に染み渡るような美しさだった。
海は良いものだ……
しかし自販機とベンチがあったので、休憩させてもらうことにした。
ああ……コーラはいつ飲んでも美味いものだ……
天使の梯子。
何か神々しいな。
明日は晴れるだろうか。
休んでいると、海の家に立てかけてあった大きな看板が風で落ちてびっくりした。
……僕じゃないぞ?
標識もあった。
ここから列車に乗って今日の宿に向かった。
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