2014年12月28日日曜日

              

関東ふれあいの道(栃木)『No.01赤銅のみち』

2014/12/28(日)

備前楯山に登る。
備前楯山山頂から望む景色は素晴らしく、途中で寄り道する足尾ダムに至るまでの道も銅製錬所跡などが見られ、往時の足尾の繁栄を偲ぶことができ、コースとしては自然と歴史をバランスよく堪能でき、非常に面白い。
不満点と言えば、ゴール地点に交通の便がないことか。


















相老駅からわたらせ渓谷鉄道に乗り、通洞駅に向かう。
それにしても東武鉄道の電車は車両が古いせいか、車内の暖房が全然効いていない。
ここに来るまでも体が冷えてしまった。











通洞駅に到着。
わたらせ渓谷鉄道は足尾山地の奥に向かうにつれ険しい渓谷になっていき、こんなところにかつて栄華を極めた集落があったとはにわかには信じがたい秘境のような雰囲気になっていく。
今までにも千葉の小湊鉄道、栃木では真岡鉄道などのローカル線に乗ったが、この路線はローカル具合が一線を画すると思った。
しかし元は国営の足尾鉄道ということもあり、歴史も深い路線だ。





鉄道沿いの生活道路を歩いていく。















足尾駅の前を通る。
駅前に案内板があった。














県道250号に合流するが、県道には入らずにそのまま線路沿いを歩く。
ここの交差点には掛水倶楽部という往時の迎賓館として使われた洋館があり、見学もできるのだが、残念ながら冬期休業中だった。











渡良瀬川を鉄橋で渡る。
鉄道橋のようなトラス橋だが、古くなったものを歩道橋として転用したのかもしれない。













県道250号に合流する。















途中に堰があった。















間藤駅に到着。
ここがわたらせ渓谷鉄道の終点になる。
ここでトイレ休憩を済ませた。













間藤駅の先にも鉄路は伸びているが、これは現在廃線となっている、足尾本山駅に至る線路である。













間藤水力発電所跡があった。
写真の渡良瀬川にわずかに見える遺構は原動所であるらしい。













かつて足尾で最も繁栄したという上間藤集落。
今では往時の繁栄を伺い知ることはできない。














分岐点にやってきた。
コースは渡良瀬川を渡るが、足尾ダムに寄り道するためにそのまま直進する。
ここにある標識は出鱈目な方向を指していて、少し戸惑った。











歩いていくと広場のようになっているところに出てくるが、ここで渡良瀬川を渡っているのが古河橋。
明治23年に竣工したこの鉄橋は国指定重要文化財になっている。
木製の床板が往時の雰囲気を残している。










足尾本山駅を兼ねる製錬所跡。
正に現存する産業遺跡で、往時に思いを馳せると銅を製錬する重々しい音が今にも聞こえてくるようだ。











更に少し歩くと煙突も見えてきた。
この辺りの山々は当時の煙害により木々が枯れ、禿山となってしまったため、今でも治山工事が行われている。
あの煙突は言わばその諸悪の根源、あるいは繁栄の象徴であり、足尾銅山の光と影、そのシンボルともなるものだろう。









愛宕下という社宅跡を通り過ぎ歩いていくと足尾ダムが見えてきた。
また、眼下に目をやると、「その他の注意」の標識が見えた。
廃道が下にあるようだ。











足尾ダムに到着。
足尾ダムは砂防ダムで、ここは久蔵川、松木川、仁田元川が合流して渡良瀬川になるところに造られている。
足尾ダムの背後には冠雪した黒檜岳や社山が見える。
あの山を越えた先には中禅寺湖があるはずだ。
銅橋を渡ると銅親水公園に行ける。
カフェなどもあるが、営業している様子はない。














ダムから中禅寺湖方面の山々を望む。
水飛沫で薄っすらと虹が出来ている。














ダム堤体には陶板でカモシカが描かれている。















道を戻り、渡良瀬川を南橋で渡る。
橋から製錬所跡を望む。














橋を渡って対岸を進むと、行く先がA形バリケードで塞がれていた。
脇を通って先に進む。













対岸から古河橋と新古河橋を望む。
古河橋にはもう一つの廃線である足尾銅山馬車鉄道が走っていたらしい。













一方、旧足尾鉄道は終点の足尾本山駅に向かっている。














ここから備前楯山に向かって緩やかな坂道を上っていく。














本山鉱山神社への参道が分岐した。
遠そうなので寄り道はしなかった。
神社があることからも分かるように、かつてここの近くには本山坑があり、集落もあった。
ここからはいくつかの集落跡を辿っていくことになる。










ちょうどここから先の路面が凍結していたので、チェーンスパイクを装着した。














何かの廃墟があった。















人一人通らない寂しい道だ。
ときおり鹿や兎のものと思われる足跡が見られた。













長い坂を上り詰めると、広い駐車場に出てくる。
ここには舟石という石があり、かつてここにあった集落の名の由来であるそうだ。













駐車場のすぐ先が舟石峠。
コースはここから下りになるが、備前楯山の山頂へと上る道が分岐している。













ここから急登の山道に入る。















山道の途中から舟石峠を見下ろす。















急登を続け尾根筋に取りつくと少し雪の深いところを歩く。
幸いにも一つの人間の足跡によるトレースがあったのでウォーキングシューズのまま歩けたが、これ以上道が悪くなると登山靴が必要になりそうだ。










突如として視界が開けると、そこが備前楯山山頂。
ここにある解説板がチェックポイント。













山頂から望む景色は素晴らしいの一言に尽きる。
広く展望が開け、北には堂々とした男体山の威容が見られる。
その眼下には渡良瀬川沿いに広がる足尾町も見られる。
足尾町周辺の山々には多く治山工事の跡が見られ、煙害の影響を物語っている。
これは、これまでに歩いた関東ふれあいの道でも五指に入る眺望だ。
ここで景色を楽しみながらコーヒーを飲み、おにぎり一つとスニッカーズを食べた。
急登をこなした後で息が上がっていてあまり食欲がなかったが、コーヒーの暖かさが疲労した体に染み渡り、最高の気分でしばらく休憩した。
これから向かう庚申山、皇海山、袈裟丸山の方を望む。














舟石峠に戻り、銀山平に向かって坂を下りていく。
途中に鳥獣観察のための東屋があった。
バードウォッチングに訪れる人もいるのだろうか。
銀山平から舟石峠には人の足跡がついていた。
備前楯山への山道についていたトレースのものと思われる。







かなり下ったところで、銀山平展望台に向かう山道が分岐する。
せっかくなので行ってみたが、はっきり言ってこの道の状態は最悪で、積雪していない代わりに落葉が深く堆積していて踏み跡は全く見えない。
路肩もほとんど崩壊していて、ほぼ斜面の上を歩いているような感じである。
今にも転倒してそのまま落葉で足を滑らせて滑落していきそうで恐怖を感じる。
上りは何とか持ちこたえたが、下りは二度ほど転倒して左手を負傷した。




尾根に取りつくとすぐに銀山平展望台に着くが、銀山平展望台そのものも、写真のような不安定なゴツゴツした岩の上を歩かされ、両側が崖になっているので、万が一滑落したときのことを考えると恐ろしい。











展望台からはその名の通り銀山平を見下ろすことが出来るが、正直に言ってここまで苦労してまで見たい景色では全くない。
怪我の恐れもあり危険なので、道が改善されるまではこの道を歩くことは全くお勧めできない。











コースに戻ってくると、すぐその先で銀山平に下る階段がある。
ここの道もあまり良くない。













銀山平に到着。
ゴール地点には国民宿舎かじか荘があった。
ここからは次回歩くNo.23コースが分岐しているので、そこを歩くときに利用できそうだ。
ここにはバスは来ていないので、宿の送迎バスかタクシーを利用するしかない。

この後、群馬県No.30コース起点まで連絡コースを歩いた。
         

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