十和田湖畔を歩く超絶の廃道を雨の中歩いた、苦闘の記録。
藪、倒木、崖崩れ全てを乗り越えて踏破したが、とにかく苦しかった。
十和田湖と豊かな森林を楽しめるとても良いコースなので、廃道になっているのはもったいなく感じる。
いつか再び整備される日が来ることを願う。
やはり予報通り雨か……
傘はあるが、役に立つだろうか。
このコースの情報はネットにも見当たらなかったので正直不安だったのだが、こうして普通に案内板があるということは、案外普通に歩けるのか?
厚く立ち込める雲と遠く霞む外輪山。
今日はとても晴れそうにないな。
……通行止め?
どうやら早くも初雪が降ったらしく、除雪作業が行われているようだ。
そう言えば昨日のバスも通行止めを迂回するためかなり遅延していた。
脇を通り抜ける。
小畳石というのがあるらしいが、木々が邪魔でよく見えないな。
最初からこれとは……行く先が不安だなあ。
青い湖面と外輪山とのコントラストも美しい。
ずっとこんな感じなら良いのだが、まあこの車道は青橅取水口までだろうな。
うああ……まだ先は長いのに……
ずっと湖畔を歩くだけなので、迷うこともないだろう。
木橋が架かっていたようだが、ほとんど落ちているので渡渉を余儀なくされる。
これだけ大きい木が倒れていると潜ったり跨いだりするのが大変だ。
アスレチックのようにクリアしていかなければならず、疲労する。
雨は強くなったり弱くなったりを繰り返している。
藪を漕いだり倒木を越えたりではどうせ傘は役に立たないので、もう濡れるがままに任せている。
熊だろうなあ。
ときおり獣臭や気配を感じることがあったが、直接は遭遇しなかった。
ここで引き返すつもりはもうないが……
土砂崩落というのが不安だ。
通れるのだろうか……
御鼻部山は青森と秋田の県境になっており、実はこのコースは一部秋田県を通過している。
ここから秋田県の小坂町に入る。
湖に突き出した小さな岬を越えるようだ。
写真には何故か撮っていないのだが、路面が抉られるように崩れていた。
地質がボロボロと崩れやすく、そのまま横断するのはどう考えても無謀。
高巻きを試みたが、斜度がきつすぎて無理そうだ。
30分以上悪戦苦闘して正攻法では無理だと悟った。
うう……ここまで来て引き返すのか……?
幸い、十和田湖は遠浅になっていて、股下の水位ぐらいで湖畔を歩いていけそうだ。
どうせもう全身びしょ濡れなので何も気にすることはない。
このまま崖崩れを迂回してしまおう。
意気揚々と歩いていくと、悲劇が起こった。
深みに足を取られ、盛大に転倒。
カメラやスマホを水没させてしまった……
スマホは無事のようだが、GRDigitalⅣの電源が入らなくなってしまった。
うう……最悪だ……
GRDigitalが使えなくなってしまったので、ここからはiPhoneSEでの最小限の撮影になる。
十和田湖は二度の噴火でできた二重式カルデラ湖ということだ。
沢のあるところにも標柱があるのだが、ほとんど熊に齧られてて判読できない。
「砥草」の字のとおり、古くからヤスリに使われる草である。
固くて痛い。
もう少しだ……!
最後に立派な橋を渡る。
お、終わったぁ〜!
しんどかった〜!
9時半に出発して現在15時半……
約13kmのコースに6時間も掛かった。
雨が降っていたこともあるが、これまで歩いてきたコースの中でもトップレベルにハードだった。
絶対にお勧めできない。
もうすぐ日が暮れてしまうが、今日は宿をとっていない。
つまり何処かで野宿する予定である。
とりあえず国道を上って滝ノ沢峠まで行こう……
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