2018年3月10日土曜日

              

新・奥の細道(宮城)『No.01小原渓谷散策のみち』

2018/03/10(土)

碧玉渓の異名で呼ばれる風光明媚な小原渓谷の遊歩道を歩く道……であった。
いま碧玉渓の渓流沿いに横たわるのは死の道である。
死にたくなければ再整備されるまでこの道には近づかない方が良い。
小原温泉郷から渓谷を覗いて素直に国道を歩こう。
恐怖と後悔の生還の記録。



















小原温泉駅から坂を下る。


















小原温泉だ。
つい最近三軒残っている宿のうちの一つのかつらやが営業停止してしまい、残る二軒が寂しく営業している寂れた温泉郷だ。









小原温泉を抜けると碧玉渓が現れる。
おお!良いところじゃないか。
寂れさせておくのがもったいないな。
なんとか再興してほしいものだ。






















渓谷に架かる吊り橋。
良い雰囲気だ。
吊り橋の近くに岩風呂かつらの湯という露天風呂がある。
物凄く入浴したいのだが……
すでに正午をまわっており今日の目的地は鎌先温泉。
それにこのコースは何だか猛烈に嫌な予感がするのだ。
あまりゆっくりしている時間はない気がする。













さて、まずは橋を渡ろう。
……ん?
橋を修繕予定のため通行止め?
……

…………

……………………





さて、気を取り直して小原温泉遊歩道を歩いていこう。
(思えばこれがそもそもの間違いだったな)














荒れてはいるが、すぐ間近に渓流を眺めながらの歩行は大変に気持ちがいい。
本当に良いところだ。
橋を修繕予定ということは合わせて遊歩道も再整備してくれると期待しても良いのだろうか。
是非観光客で賑わう遊歩道を復活させてほしい。



















道に落石が増えてくる。
なんと、ところどころ道の脇に温泉が湧き、湯気が立っている。

















渓谷を睥睨する断崖。
凄い迫力だ。

















太鼓橋だ。
橋のすぐ脇で滝が飛沫を上げている。
橋の上は濡れていてとても滑る。
転倒しないよう慎重に渡る。








太鼓橋を過ぎて少し行ったところで再び右岸に渡るのだが……
ご覧のように橋は落ちてしまっている。
まあ、橋が落ちているのは事前情報で知ってはいた。
まずは橋に腰掛けてコーヒーを飲んでリラックスした。
そして周囲を見回して何とか渡渉できないかとしばし逡巡する。
左岸の道なき道を行ってみたりと悪あがきしてみたが……
どうも、どうにもならないなこれは。
今日は川の水量も多い気がする。
無理に渡渉しようとしたら流されそうだ。
諦めてもと来た道を戻る。











国道に戻りしばらく北上すると途中から小原温泉遊歩道に合流できるポイントが存在する。
入口を簡易バリケードがやる気なさげに塞いでいるのが不安だが……
ここから降りてみるとしよう。
(思えばこれが最終警告だった)














難なく落ちた橋の対岸に来ることができた。
しかしこれは仮の橋だったんだろうが……
いや、ワイルドすぎでしょ。
というか橋が架かってたとしても怖くてこんなの渡れないよ……















さて橋から先の右岸側を進んでいこう。


















少し笹薮を漕いで更に進んでいくと……
うわあ、荒れてんなあ……
何だか猛烈に嫌な予感がしてきた。
















道は急峻な岩場を高巻きしはじめる。
あっ、前方の道が……

















道が、逝ってる。
思えば何でここで引き返さずに行けると思ったんだろうな。
少なくとも正常な判断ではなかった。
足を滑らせたら数十メートル下の渓流まで真っ逆さまだ。
数秒間迷ったのち、崖の岩を掴みながらゆっくりとカニ歩きで前進する。
すると……
掴んでいた岩がボコッと外れ、咄嗟に離した岩が渓谷に落ちていき、すぐにドボンと水音が聴こえた。
……
岩もろとも真っ逆さまに落ちなかったのは、運が良かったとしか言いようがない。
肝を、冷やした。本当に死ぬかと思った……








前述の箇所を越えた先も恐ろしい道が続く。
枝をかき分けつつ、路肩に近づかないように、牛歩で前進する。
何で、こんなことしてるんだろう。
















うん、駄目だこれは。
道は完全に斜面と同化しているし、足場も悪くズルズルと滑り一歩間違えば転落してそのまま渓流に飲み込まれそうだ。
どう考えても僕の手に負える領域ではない。
道は、死んでいた。
何でもっと早く撤退を決断しなかったんだろう。
またさっきの崖をカニ歩きしなきゃいけないのかと思うと本当にここまで来たことを後悔した。











国道に戻ってきた。
本当に、生還できて良かった……

















さて、ゴールまで普通に国道を歩くのもつまらないので、旧道を歩いてみよう。(懲りないやつだな)
旧道は廃道になっており、ご覧のように荒れ果てている。
古いトンネルは意外にもしっかりしていて今も通行可能だ。















小原温泉遊歩道が合流してきた。
なんだこりゃ。
崖を下れと?
やはりあのまま道を進んでもゴールはできなかったようだ。















現国道との合流地点に案内板があった。
今まで歩いてきた自然歩道の中でも最悪のコースだった。
宮城県、僕を殺す気か。
踏破はできなかったが(というか不可能だが)、とりあえずゴールとした。
しかし、このときは翌日に更なる恐怖が待ち受けているとは思っていなかった……
鎌先温泉まで連絡コースを歩こう。
         

0 件のコメント:

コメントを投稿