2015年1月4日日曜日

              

関東ふれあいの道(栃木)『No.23ヤシオ咲く庚申のみち』(未完)

2015/01/04(日)

今回は関東ふれあいの道の栃木県No.23コース「ヤシオ咲く庚申のみち」を踏破しようとしてリタイヤした記録になる。
積雪を見越してこの日のために冬用の登山靴とアイゼンを買い、前日は登山口前のかじか荘に一泊し、日の出前に出発したにも関わらずの敗退の原因は、前日の降雪によるルートの喪失とトレースのない新雪をラッセルして歩くことによる体力の消耗だった。
輪かんじきかスノーシューでもあればもう少し頑張れただろうが、やはり雪山を歩くとしたら積雪の深くない日を選ぶべきだったのだろう。
しかし、山の雪景色は美しく、冬を堪能した気分にはなった。













かじか荘を6時に出発。
ちなみに前日宿泊したかじか荘はご飯も美味しく、露天風呂もあり、こんな山中にありながらも満足のいく宿だった。
時期を改めてまた訪れたい。

林道の緩やかな坂を上っていくが、早速凍結していたのでウォーキングシューズにチェーンスパイクを装着した。







林道を歩いていくと少しずつ夜が明けてきた。















林道は庚申川に沿って高度を上げていき、丸石沢、笹ミキ沢を橋で渡る。
この辺りは本当に鹿が多く、夜が明けてくると鳴き声が聞こえたり斜面や道の上を駆けていく姿を見たりできる。
鹿が斜面を駆けると落石が起こるので、要注意だ。
笹ミキ沢の手前には道の上に後ろ脚を怪我して一匹の鹿が蹲っていた。
僕が近づくと興奮して逃げようとするが、もはや腰が立たないようだ。
可哀想だが、助けてやることはできない。
そのまま素通りした。



右手に天狗の投石が現れた。
積雪していて全容はよく分からないが、均等な大きさの岩が斜面にゴロゴロとしている。
この辺りから林道にも積雪が増えてきた。












林道が尽きると一の鳥居の先には山道が続いていた。
この手前から積雪は深くなり、脛まで埋まるぐらいになっていた。
そろそろウォーキングシューズでは歩きづらいので、近くにあるベンチで休憩がてら登山靴とアイゼンに履き替えた。
冬用の登山靴は合わせて2kgもあり、ザックがかなり重かった。
また、早朝かじか荘で入れてもらった熱湯でコーヒーを飲んで、スニッカーズを朝食とした。
美味い。




まずは庚申七滝を見に行った。
七段に落ちる滝で、この寒さにも関わらず勢いよく庚申川に注いでいた。
以後、山道はしばらくこの滝の水ノ面沢に沿って進んでいく。











林道を歩いているときから半ば諦めてはいたが、山道に期待していたトレース(足跡)はなく、積雪のため道は判然としない。
しかし、しばらくは沢沿いを歩けば良いのだと思い、沢沿いの歩きやすいルートを選び進んでいく。
この辺りはまだ雪の深さは脛の辺りだ。

少し歩いた先にベンチとテーブルのある休憩所があり、その先橋で沢を渡る。





二つ目の橋を渡る。
この橋を渡った少し先でルートを間違えた。
進んでいると自分の歩いているルートより沢側に「百丁目」の案内板があったのでルートミスに気付いた。
大きな岩があるとそれが風よけになり、積雪が抉れて道跡のように見えてしまうのだ。









鏡岩に到着。
一の鳥居から庚申山荘まででは距離的にはこの鏡岩がちょうど中間点ぐらいだろうか。
ここまでも結構苦労して来たが、この調子なら何とか山頂まで行けるだろうとこの時点では少し安心していた。
ベンチがあったので少し休憩した。









鏡岩から少し歩くと夫婦蛙岩に到着。
何とか普通に歩ける道はここまでで、ここから先は急激に道が悪くなり、ルートも判然としなくなる。












夫婦蛙岩からは急な斜面を上るが、上りきった先で完全にルートを喪失した。
これまではルートを見失っても赤リボン、赤ペンキ、菱形標識など目印に向かって歩けたのだが、それも見失った。
こっちかと検討をつけて少し進んでやはり違うかと戻ることを何度か繰り返し、無駄に時間と体力を消耗した。
引き返すことも考えたが、行くべき方角は分かっていたので、手近な斜面に取りつき、とにかく高度を稼ぐことにした。




恐らくルートは全くの出鱈目だったが、何とか仁王門にたどり着いた。
岩場を乗り越えるのに這いつくばるようにして進む場所もあった。
凍り付いた急斜面ではアイゼンが役立った。
仁王門から先の道はますます悪く、いよいよ積雪は膝の高さにまで迫ってきた。
なるべく積雪の深くないところを探して歩くが、それも虚しくなってくる。
足取りの一歩一歩は文字通り重く、高く股を上げてつぼ足で歩かなければ進退窮まるような状況だ。




この辺りではもう心は折れかかり、もうこの辺りで引き返した方が良いだろうと言う思いが何度も頭をよぎる。
ところによっては雪は膝上ぐらいまでもあり、こうなるとまずは膝や腕で前方の雪を沈めてからでないと前進すらできない。
いわゆるラッセルだ。
しかしせめてキリの良いところまで、という一念で歩を進めた。







何とか旧猿田彦神社に到着。
ここはNo.24コースとの分岐点でもある。
スタート前、もし余裕があればNo.24も歩こうと思っていたが、今はそんな気持ちは全くない。
むしろ冗談ではないという気分だ。











旧猿田彦神社から庚申山荘への道は今日の中では最悪で、終始膝上まである積雪をラッセルしながら一歩一歩を自分を奮い立たせて何とか進める。
山荘がもう目の前に見えているのに、この一歩が果てしなく思えるほど遠い……










這う這うの体で庚申山荘に到着。
この寒さだと言うのに汗だくで、脚は間接や筋肉が痛む。
ここはNo.23のチェックポイントなのだが、写真は撮れない。
何故なら三脚を立ててセルフタイマーで撮影しようとしても、数秒では歩を進めることも出来ないからだ。
ここで再びコーヒーとスニッカーズを食べて昼食とした。
かじか荘でおにぎりをもらっていたが、疲労のため食欲はなかった。
天下見晴や庚申山頂に行くには時間・体力ともに厳しく、悔しいがここで撤退を決意した。


帰りは下りの上に自らのトレースを辿れたので、正直に言ってかなり楽であった。
速度も二倍近いペースで歩けた。
しかし疲労のために幾度となく脚が攣り、その度に転倒した。
またアイゼンでズボンを引っかけて穴を開けてしまった。
気持ちにも余裕が出来て、雪に閉ざされた冬山の人の立ち寄らない真の自然を堪能した。
鹿の鳴き声、ゲラのドラミング、またリスが木を登るところも見れた。





軽快に一の鳥居を潜り林道に戻ってきた。















その後かじか荘でタクシーを呼んでもらい、原向駅に送ってもらい帰路に就いた。
行きは苦しく、撤退を決意したときは悔しく、もう二度と雪山など来るものかと思ったが、帰りは存外に楽しかった。
雪山は登頂・踏破などと気負わずに、自然観察に来る程度の軽い気持ちで臨んだ方が良いのかもしれない。
でも、しばらくは雪はこりごりかな……

         

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