2014年11月22日土曜日

              

関東ふれあいの道(栃木)『No.05巨石と杉並木のみち』

2014/11/22(土)

番号とコース名をも持ちながら連絡コースになっている、50km弱にも及ぶ関東ふれあいの道最長のコース。
なぜこんなコースが生まれたのかは推測するより他ないが、1988年発行の『首都圏自然歩道 関東ふれあいの道 特選35コース』には安蘇郡田沼町(飛駒)~足利市名草上町(入名草)の9.5kmとの記述があるので、発光路から飛駒までは元々連絡コースだったのかもしれない。
更に発光路から大荷場木浦沢林道の最高点へはショートカットできる山道が存在するらしいので、連絡コースとしては本来35km強ぐらいなのかもしれない。(それでも長いが)
何にせよこのコースを1日で歩こうとすればかなりの強行軍を強いられることが予想され、以前からこのコースを歩くことに戦々恐々としていた。
歩いてみての感想だが、やはりかなり心身ともに無理を強いることになった。正直、真似することはお勧めできない。
ハイライトは何と言っても秋山川の源流を辿る氷室山の中腹にある大荷場木浦沢林道だろう。





50kmとなると1時間に4km以上歩いても12時間近くかかることになる。
ゴールにある上粕尾発光路バス停から出る鹿沼駅行きの最終バスは17時48分。これに乗るとなると5時30分には出発しておきたい。
この条件をクリアするためには名草厳島神社の前にある巨石荘に前日宿泊するのが良いと判断した。
巨石荘に宿泊するには、事前に足利市役所に申請しておく必要がある。
前日の金曜日は午後休暇を取り、事前に電話で宿泊する旨を伝えた上で急いで申請を届け、蔵王様バス停の15時45分発のバスに乗り、16時10分入名草バス停に到着、17時までしかいない管理人から何とか鍵を受け取り、宿泊出来た。
巨石荘は研修施設として作られていて、一人で居ると広すぎて心細い感じもしたが、暖房器具などもあり特に問題なく宿泊出来た。
備え付けの大きな檜風呂も独り占め出来て気持ち良かった。
ただ、アテにしていた付近の飲食店は17時前にはすでに閉まっていて、夕食を食べそびれてしまった。
気にかけてくれた管理人がインスタントラーメンを分けてくれたので、何とか夜の飢えを凌げた。
ありがたい。




ちょうど夜明け前に巨石荘を出発する。
外はまだ真っ暗なので、今日のために買っておいたヘッドライトを点灯して歩いていく。
名草厳島神社の境内を抜け、老越路峠を目指し、坂を上っていく。
闇の中ヘッドライトを点けて歩くということ自体初体験だったのだが、周りの景色が見えなくて、なんだかトレーニングをしているような気分な上に、奥の見通せない森はとても不気味だ。







標高を上げ、眺望が開けたところでちょうど夜が明けてきた。
朝日に照らされた山々は紅葉していて美しかった。












田沼町飛駒(現在は佐野市)に入る。
またこの近くに赤雪山への登山道が分岐していた。
曰くのありそうな名の山だが、調べてみると足利忠綱が、妻を寝取られたと勘違いした足利義兼に殺され降ってきた雪が赤く染まったことからこの名が付いたらしい。









田沼町に入ったところから緩やかに坂を下っていく。
この道は長石林道という。













しばらく坂を下ると老越路峠に到着。
このまま飛駒町に降りていく。
ここから県道66号に入る。













坂を下っていくと道脇に足利カントリークラブが現れる。














飛駒町に入り、彦間川を渡る。
飛駒と彦間……何か関係があるのだろうか。
散歩していた方に「どこから来たの」と聞かれたので「名草の方からです」と答えたら驚かれていた。
名草と言っても広いので、名草厳島神社からと言えば良かっただろうか。









丁字路に突き当たる。
ここを左折して県道208号に入る。
自販機があったので、朝食代わりに汁粉を飲んだ。












飛駒小学校の前を通る。
校庭から山々を望めて、羨ましいような環境だ。













小学校を過ぎるとすぐに右折して県道を離れる。
今度は近沢峠を目指す。













道を歩いていると写真の標識が道脇に落ちていた。
旧制道路標識だろうか。
「MAXIMUM SPEED」と英字で書いてあるのが旧標識っぽい。
しかしいくら狭窄な峠道と言っても20km制限とは、ほぼ徐行運転に等しい。
どこか別のところにあったものかもしれない。








すぐに集落を抜けて山中の坂道になる。















行く手に近沢トンネルが見えてきた。
このトンネルは比較的最近出来たもので、それまで使われていた峠道がトンネルの手前から伸びていた。
せっかくなのでそっちを歩いてみようと思う。











使用頻度が減ったせいか、道はやや荒れているものの、問題なく通行できる。
更に坂を上り峠を目指す。













旧田沼町作原に入るところが近沢峠。
近沢林道開通記念碑もあり、この峠道を作った者たちの苦労が偲ばれる。













峠を越えて坂を下っていく。
ここは眺望が得られて良い気分で歩ける。
道端に真新しい獣の糞が落ちていた。
一応車道なので大丈夫かと思っていたが、やはり山中、獣の生息域のようだ。
熊鈴を鳴らしながら歩く。










近沢トンネルの反対側に降りてきた。















更に坂を下っていく途中、猿の群れに出くわした。
先ほどの糞も猿のものだったようだ。
猿は僕に物怖じすることもなく、森に消えていった。











近沢林道を抜けると再び集落に降りてきた。















道を左折し県道201号に入ると、旗川が集落の中を流れる長閑な風景が広がる。














途中に蓬山ログビレッジがあった。
「日本列島中心の地」と刻まれた碑があるが、確かにこの辺りは日本列島の中心に近いようである。
ここで何か食べられれば、と思ったが開店は11時からでまだ早かった。
このときの時刻は9時過ぎで、出発してから約3時間半。
峠を二つ越えて続けて歩いてきたこともあり早くも靴擦れの兆候の足裏の突っ張るような痛みが出始めてきていた。
一度座り込み、自販機で買ったコーラを飲んで休憩した。



しばらく歩き、牛の沢出原林道の分岐するところで県道を右折し林道に入る。
愛宕山の中腹を通るこの林道で三つめの峠を目指す。












峠には「峠の照花園」というものがあった。
山ツツジの時期が綺麗なようだ。














峠の先からの下りは眺望が開けて気持ちのいい歩きだ。
眼下に集落も見えてくる。













集落に降りてくると出原の大椿という樹があった。
それほどの大樹ではないが花を付ければ美しいのであろう。












林道を抜け左折して県道200号を歩く。
ここからは美しい秋山川の清流に沿って歩いていく。
写真に収めることは出来なかったが、翡翠色の美しい鳥、恐らくはカワセミが川面を滑空していくのを見た。










川を見れば出流原弁天池で見たような川底まで透き通る清らかな水が流れている。














このとき時刻は11時。
ちょうどこの辺りは蕎麦屋が多かったので、そのうちの一軒に入り昼食をとった。
が、あまりのんびりもしていられない。
しっかりと栄養補給をしてから再び歩き始めた。











あきやま学寮というキャンプ施設があった。
この辺りはバス停もあるので、個人的にはこの辺りで一区切りを付けて秋山川源流を辿る道は体力に余裕を持って臨むのが良いと思う。












氷室神社だ。
氷室山は山頂までは行かないまでも、これから中腹まで登っていく。
ちょっと階段を上る気力がなかったので鳥居の下から参拝。
ここでまた猿の群れを見かけた。
集落にまで降りてきているようだ。
神社の前でも老人が井戸端会議をしており、活気のなくなった集落の周りの里山の環境も変わりつつあるようだ。






秋山川沿いに県道200号を歩いていくと、徐々に人里を離れていく。
途中、このような山間の集落にありながら行列が出来て盛況そうな蕎麦屋があった。
有名店のようだ。











木浦原バス停。
以後しばらくバス停はないので注意だ。














集落の最後に曽洞宗の寺があった。
ここで県道も終わり、緩やかな坂を上っていく。














歩いていくと右側に柵で仕切られたザゼンソウ群があった。
春頃に来れば綺麗だろう。













秋山川の源流を辿る気持ちのいい道だ。
途中から大荷場木浦沢林道に入ると、更に山深いところに入っていく。
九十九折が続くと流石に辟易してくる。












途中に秋山川大滝に続く遊歩道があったので行ってみたが、倒木が酷くて歩けたものではなかった。
それでも無理して途中まで行ってみたのだが、先に大滝に向かっていた老夫婦がたどり着けずに引き返してきたので、僕もおとなしく引き返すことにした。
せっかく良い時期なのだからちゃんと管理してほしい。
ここまで歩いてきたことを話すと老夫婦も驚いていた。





ここから延々と九十九折が続いていく。















うう……長い長い長い……。
ここに至るまでの疲労もかなり溜まって来ており、緩やかな坂を上って行く足取りの一歩一歩が重くなっていく。
足の親指の付け根と踵が靴擦れでジンジンと痛み、痺れてきた。
かなり標高を上げてきていて、900mを越している。
すでにこれまで関東ふれあいの道で歩いた最高点の筑波山の877mを超えている。
行く手の山を見ると先に更に道が延々と続いているのが見えて何度も心が折れそうになる。
座り込んで水を飲んでは歩く小休止を度々挟みながら牛歩で進んでいく。


ようやく大荷場木浦沢林道の最高点、標高956mに到達。
思わずガッツポーズをして「よし!」と叫ぶほどのカタルシスだった。
しかしゴールまではまだもう少しある。
ここで林道を逸れて山道に入ると発光路に近道できるそうだが、コースマップに従ってそのまま林道を下っていく。
その前に座り込んで少し休憩した。







林道を下っていくと、途中に眺望の得られる「林道ふれあい施設」という展望台がある。
草に埋もれ朽ちかけたベンチとテーブルがあったので、ここで倒れ込んでしまった。
靴擦れもだが、脚の筋肉もそろそろ限界のようで一度倒れ込むともう一度立ち上がるのが辛い。









下り坂は上り坂に比べれば気分的にはかなり楽だが、それでも距離が長くなってくると「まだか、まだか」という思いが強くなってくる。
何より下りは着地時の足裏への負担が大きくなり靴擦れが痛い。
そうしてしばらく歩いていると、ようやく林道を抜け、県道15号に出てきた。
ここは右折して更に坂を下っていくが、左折して坂を上って行けば粕尾峠に至る。







思川を渡る。
思川はNo.14でも見た川だ。
あれから随分と上流に来たものだ。














おお……懐かしい標識だ……。
ここでNo.4にようやく合流した。
No.4はここから横根山に向かって上り井戸湿原を目指す。
そのまま発行路に降りる。
ここには石割桜があるとの解説板があったのだが、どれのことだか分からなかった。
No.4を歩くときもう一度確認してみようと思う。







その先に山ノ神ドライブインがあった。
ここからまた集落に入る。
ここには山の神バス停があった。













No.4コースに合流してからも意外と長かったが、ようやく上粕尾発光路バス停に着いた。
歩いていると急激に日が沈んでいき、到着する頃には再び真っ暗になっていた。
着いたのはちょうど17時頃だった。
バスの時刻には少し早かったようだが、想定していたペースはほぼ守れたようだ。
とにかく疲れたが、達成感も一入だ。
このあとバスが来るまで寒い思いをした。
バスが来たので手を上げたのだが、目の前をそのまま素通りしていったので焦って両手を振り上げて何とか止まってもらえた。
危なかった……。
1時間かけて東武日光線新鹿沼駅に到着した。
そこで特急券を買ってスペーシアで帰路に就いた。
翌日は靴擦れと筋肉痛でほとんど動けなかった。
         

3 件のコメント:

  1. ラムこのパパ2015年3月7日 9:24

    凄いです。

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  2. お疲れ様でした。
    関東ふれあいの道一周に挑戦中ですが、ブログを参考にさせていただきました。

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    1. りゅうぞうさん、こんにちわ。
      こんなブログですが参考になれば幸いです。
      このコースはとにかく疲れたという思い出があります。
      が、歩き終えたときの達成感もひとしおでした。
      ブログ読ませていただきました。
      僕と同じく反時計回りで歩いているのですね。何だか親近感が湧きます。
      これからも楽しんで歩き旅を続けてください。

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