景勝地である抱返り渓谷を歩く……のだが、現在はコースが通っている遊歩道のほとんどが通行止めになっている。
夏瀬温泉側は全く歩ける状態ではないので、西側から歩いて往復する他無い。
しかし、秋田県に来たからには一度は見ておくべき素晴らしい景勝地だ。
ここからスタート。
そのまま崖伝いの道を行く。
しかし歩ける。
何とかくぐり抜ける。
安全地帯。
これは駄目か……?
しばらく悩む。
崖伝いに狭い踏み跡はある。
しかし……これを踏み外せば崖へ真っ逆さま。
行けなくはないのだろう。
しかし行ったが最後、引き換えしてこれる自信がない……
これ以上は踏み込んではいけない領域な気がする。
残念だけど……ここで撤退だ。
今日は6時30分ぐらいにホテルを発ったので、ここまで往復5時間30分もかかってしまった。
やれやれ……。
出店で買ったコーヒーを飲んで休憩した。
抱返神社。
参拝。
玉川を渡る。
夏瀬のような吊橋だ。
神の岩橋と云って、秋田県で最も古く、大正15年に架けられた吊橋だそうだ。
観光地のど真ん中に普通にあるが、コースのほとんどが通行止めなのに意味あるのかなあ……
百尋の滝なんか行くの絶対無理だぞ。
抱返り渓谷には様々な奇岩がある。
遊歩道を歩いていく。
抱返り渓谷のハイライトである回顧の滝まではしっかりと整備された道が続く。
まあ、ここまでしっかり整備したのも最近のことらしいのだが……
誓願橋。
いよいよ渓流との比高がヤバいことになってきた。
抱返り渓谷の核心部に入っていく。
高い!怖い!恐ろしい!
しかし、何という美しい眺めだ。
本当に絵画のような風景だ。
橋が崖に突き刺さっている。
この遊歩道だが、実はかつての森林鉄道の軌道跡を利用している。
名を生保内林用手押し軌道というらしいのだが、要するに人力でトロッコを運用していたわけだ。
こんなところを。
……本当に?
正気の沙汰ではないぞ。
上流側は夏瀬ダム、神代ダムもあったが、こうして施設のおかげで抱返り渓谷の流れはかつてよりも大分穏やかになっていると思われる。
これらの施設が出来る前は、もっと恐ろしげな渓流だったのではないだろうか。
なんという道だ。
全く逃げ場がない。
回顧(みかえり)の滝。
玉川に注ぐ大相沢の瀑布である。
流石に美しい。
神が宿っているような神秘的な滝だ。
思わず合掌する。
来て良かったな。
その美しさから、思わず何度も見返してしまうので回顧の滝と云うそうだ。
まさしく。
改めて、凄いところだな、ここは。
古い遊歩道か、軌道跡だろうか……
昭和10年にこの抱返り渓谷に妹と訪れていた飯村少年は、崖に落ちた妹を助けるために、鬼神の如く崖に飛び降りたという。
その加護があってか、妹は無事に助かったらしい。
その飯村少年を偲んでここに地蔵が建てられている。
合掌。
こちらから見る限り、断崖絶壁の崖伝いの桟橋が崩れており、どうやっても通行も迂回も出来そうにない。
やはり無理せず撤退していて良かった。
来た道を引き返す。
今日は朝から曇っていたが、とうとうポツポツと雨が降り出した。
コースはそのまま直進する。
洪水が起きたとき流されそうになった山伏と巫女の前に明神様が現れ助けられた二人は、感激して巨岩になったという伝説が残されている。
巫女石は抱返神社の東側の河中にあるそうだ。
集落に出てきたようだ。
「ひろくない」という割にはそこそこ広い……
仕方ないので橋の袂の交差点を終点とした。
11月の旅はこれにて終わり。
次来るときは、恐らく冬景色になっているだろうな。
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