2015年8月28日金曜日

              

中部北陸自然歩道(群馬)『E-1上州路三国峠のみち』

2015/08/28(金)

新潟県と群馬県を結ぶ中部北陸自然歩道、群馬県側最後のコースになる。
山中に秘められた旧三国街道最大の難所、三国峠を目指して歩いていく。
雨霧に煙る深い森の中の旧街道は何とも言えぬ幽玄な雰囲気で、怪我の功名というべきか新鮮な山歩きを楽しめた。
代わりにこの道は山ビルが非常に多く、天気のせいもあるが、少し歩いただけで大量の山ビルが足首に取りつき血まみれになってしまった。

















出発点から少し坂を上ると再び国道に出てきた。

















国道を少し歩くとすぐに旧三国街道への入口が現れる。
ここからはしばらく急坂の山道が続く。
















九十九折でぐんぐん高度を稼いでいく。
道幅は広くよく均されていて、険しいと感じるところはほとんどない。
荷馬車が通っていたとしても不思議はない感じだ。













しばらくすると森は濃い霧に包まれ、完全に別世界へと変わってしまった。
幸いにも足下にはしっかりした道跡があるが、不鮮明な藪道なんかを辿っていたら遭難必至だろう。














九十九折を終えると道は緩やかで歩きやすい道になった。

















法師温泉と猿ヶ京に向かう道が分かれる辻に到着した。
ここは大盤若塚埋趣分供養塔が建っている。
ここはかつて妖怪の出るところで、その原因と思われた遭難した人々を供養するために建てられたものであるらしい。











辻にある東屋で少し休憩をした。
足首に大量に取りついて吸血しているヒルを払い落とし、昼食としておにぎりを一つ食べた。
やはり山道で疲れているとどうしても食欲が沸かない。
今度からは行動食としてもっと簡単に食べられるものを持参した方が良いのかもしれない。










辻を過ぎると道はほとんどアップダウンもなく歩きやすい。
また路盤が腐葉土質から砕石がちにかわり、山ビルも比較的少なくなる。














それにしても霧に包まれた森とはこんなにも美しいものだったのか。
今日のような機会を得て、はじめて身をもって感じられたことに感謝した。
まるで現実から切り離されたような異世界感は、歩いていると脳が痺れてくるようだ。
現実と虚構の境界があやふやになっていくような感覚。
ここは何処なのか、自分はここで何をしているのか・・・しだいにおぼろげになってくるようだ。






岳樺の樹も見られるようになってきた。
標高は1000mを越えている。
















路盤に薄く生える苔が一層古道の趣を際立たせいる。

















三坂の茶屋跡に着いた。


















少し離れたところに墓がいくつか建っている。
この辺りが建物の敷地だったのだろうか。
田村越後の守は冬の間ここで逗留していたのだという。













小さな沢が道を洗い越しにしていた。
沢の水を掬って顔を洗う。
冷たくて気持ちいい。















この沢は下の法師ノ沢に注いでいるのだろう。
















簡易トイレと東屋があった。
ちょっと使う気にはなれない。

















長岡藩士雪崩遭難の墓に到着。
長岡藩士が罪人を護送中、雪崩に巻き込まれ、人足と罪人だけ命が助かったのだという。















また少し上りはじめた。


















また沢があった。
流れが速い。
慎重に渡る。
















路外を覗くも、下界は見えず。


















一体ここは何処なのだろう……


















三度目の沢が現れた。
今度は流れが深く、足を濡らさずに進むことはできなかった。
ここ数日の断続的な雨で増水しているのだろう。














最後に洗掘された少し狭くなった道を上ると三国峠に着いた。
ここが、群馬県と新潟県の境。
古くは上州国と越後国の境であった。
峠には三国権現が祀られている。
拝殿は避難小屋も兼ねている。
中に入って参拝した。
ここから背後に聳える三国山に登ることもできるが、今日は止めておこう。







峠で休憩した後、少し来た道を戻ると国道に降りる道が分岐している。
ここで旧三国街道とは別れを告げる。















国道へ一気に下る道はやはり旧街道に比べればただの山道という感は否めないが、よく整備されていて特に歩くのに支障はない。















大きな上越橋が見える。
国道に出てきたようだ。


















三国トンネルの脇に出てきた。


















関東と北陸を最短で結ぶ国道17号の最大の難所であった三国峠、それを貫く三国トンネルの内部。
狭小で時代を感じさせるが、しっかりした印象を受ける。















橋から身を乗り出して脇を見ると橋梁工事が行われていた。
そう、実は現三国トンネルが老朽化してきたことから、新三国トンネルの工事が進められていたのだ。
土木構造物の宿命とは言え、今のトンネルが将来なくなってしまうというのは、切ない話だ。











橋を渡ると群馬県の標識。



















三国トンネルを後に、国道を少し歩いていくと写真の場所で山道が分岐している。
ここから法師温泉に行けるようで、地図でも確認していたのでさあもう一頑張りとばかりに山道に入っていったのだが、途中からどうも道が地図に描いてあるルートから逸れていく。
地図では法師ノ沢右岸の中腹をしばらくトラバースするように描いているのだが、明瞭な道は早速九十九折で沢に下りていき、左岸に取りついている。
僕はここでこの道が法師温泉まで続いている確信が持てなくなった。
行く先には送電線があるので、妙に立派な遊歩道に見えるがその実ただの点検路ではないのか?
そう考えて地図通りの道が分岐していないか1時間もウロウロして探したが、結局道は見つけられず、不確定な道を辿って遭難するよりは確実な国道を、と思い直して結局国道に戻ってきた。
急坂を何度も上り下りしたせいですっかりヘトヘトになってしまい、無駄に体力を消耗した。
帰宅してから調べてみると、やはりあの道をそのまま辿れば法師温泉にたどり着けたようだ。
つまり地図に描かれている道はない。
かつてはそのような道があったのかどうか、真偽は不明だ。

さて、国道を更にしばらく歩いていくと写真の場所で再び山道が分岐している。
ここからは直接法師温泉に真っ直ぐ下る道があるはずなので、今度こそ確実だ。





急な九十九折を下っていく途中でとうとう雨が降り出してしまったが、程なくして法師温泉に到着。
また足をヒルに吸血されてしまった。
法師温泉は山奥にある由緒ある一軒宿で、国指定重要文化財にもなっている。
木造で時代を感じさせる趣ある佇まいだ。
この日はここで一泊した。
部屋はもちろん浴場は風情たっぷりで素晴らしく、また料理も素朴ながら豊かで大変に美味であり、最高の気分で夜を過ごした。

翌朝、雨でなければそのまま中部北陸自然歩道の連絡コースを利用して新潟側から帰ろうと思っていたのだが、あいにくと朝からのザーザー降りで、これでは無理だろうということでバスで猿ヶ京に向かい、そのまま帰路に就いた。
今回の旅は苦しくも新鮮な発見もあり、満足なものであった。
出来れば次回、晴れた頃に再訪したい。
         

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